飾文字

ふしぎなふしぎなながぐつ

佐藤 さとる(さく)・村上 勉 (え)
偕成社

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かおるの家の垣根の下に小さな黄色い長靴が転がっていました。それもたった一つ、左足のかたっぽだけです。 赤ちゃんの長靴のように小さくてかおるには履く事もできない長靴。新品みたいにキレイな長靴。でも、底にちょっとだけ傷がある長靴。 誰かが取りに来るかもしれないからと、かおるは垣根の上に乗せておきました。
次の日、垣根の上には長靴がありました。ちょっと持ってみたら、何だか昨日より大きくなってる気がしました。 また次の日、長靴は垣根の下に落ちていました。拾い上げてみると…あれ?かおるが履けるくらいの大きさの長靴に変わっていました。でも、底には傷がちょっとだけついています。
ちょうどかおるにぴったりのサイズの長靴をはいてみる事にしました…すると、左足からすーっと消えていくではありませんか!! かたっぽしかないので、かおるの左側だけが消えました。
こんなおもしろい長靴は初めてです!!かおるは自分の部屋の棚にしまっておく事にしました。


佐藤さとるさんの身近にありそうな不思議なお話と村上勉さんの優しくて懐かしい絵が、本当に私の年代のお母さん、お父さんには懐かしくてしょうがないコンビの絵本です。
毎日少しずつ大きくなっていく、履くと姿が消えちゃう長靴…欲しかったなぁ… 途中まで、かおるが消えていなくなっちゃうかもと、恐る恐る母が読み進めていくのを聞いていました。 大丈夫です、かおるは消えてなくなりません(笑)。
この長靴は大きくなるだけではないんです。不思議な長靴は不思議なまま終わります。 そういえば、元々は誰の長靴だったのかって考えた覚えがありますね。


crdot

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