飾文字

神去なあなあ日常

三浦 しをん
徳間書店

line

勉強も好きじゃないし、高校を卒業したらとりあえずは適当にフリーターでもやろうと思っていた。この若さで人生決めちゃうのもなんだしね。
それが卒業式が終わった後、担任が言った「お前の就職先、決めてきたぞ」って。 ・・・ぁあ!?・・・でも、何だかんだ言っても、母ちゃんが言い返してくれるだろう・・・ って、甘かった。すでに俺の荷物がまとめて送ってあって、すんなり家をたたき出された。
横浜から離れ、着いた先は三重県中部にある神去。 見渡す限りの山山山山山山山山・・・・・・おっとりと何でも「なあなあ」ですます村人たちと、俺・平野勇気は林業をする事になっているらしい。
チェーンソーの使い方から教わり、木の登り方、植え付け、雪起こし、地ごしらえ・・・何を言ってるかわからない林業用語を覚えつつ、どうやったらここから逃げられるかを考え続けてた、初めは。
いろいろ覚えていくと、これがなかなか・・・林業っておもしれぇ!!


2010年「本屋大賞」4位の作品です。
林業については主人公・勇気と変わらない位に何も知りません。 でも、この本はおもしろかった! 未知の世界に放り出された勇気の1年を本人が、回想録のようにパソコンに入力している設定でお話は進みます。
頑固で余所者を受け入れないおじいさんや、山のように大きなふところのおやかたさん。斧一本持って、猿のように木から木へと渡る先輩きこり(口も悪いし、手も早い)。いろんな人達にもまれて、勇気は変わっていきます。 途中では、神隠しや山の神様の祭りも出てきます。 山と共に暮らしてきた神去の人々の信仰心は当たり前の出来事なんですね。それが、すごく伝わって来ました。 いやいや、花粉症ではない私も、さすがに春の切り出しのシーンはむずがゆくなりました。
だって、杉山ですよ。花粉で全身黄色になるんですよ・・・。

- こかげで読書 -
inserted by FC2 system