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笑う警官

佐々木 譲
角川春樹事務所

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映画「笑う警官」の原作本です。


札幌市内のアパートで若い女性の変死体が発見された。 彼女は北海道警察本部の婦人警官だった。
容疑者は異例の早さで彼女の交際相手であり、同じく警察官の津久井だと断定される。 しかも津久井は覚醒剤中毒者で拳銃所有のため、見つけ次第即刻射殺だと・・・。

そんな津久井と数年前に、あるおとり捜査で生死を共にした佐伯に電話があった・・・自分はやっていない・・・と。 異例にも程がある『津久井射殺命令』に違和感を覚えた数人の刑事と、津久井の無実を晴らす為、佐伯は処分覚悟の『極秘 捜査本部』を作り、捜査を始める。
数年前の警察官不祥事と警察内部の裏金取引・・・調べれば調べるほどに出てくる裏の世界・・・


警官、警察の不祥事を聞かない日が少なくなってしまった昨今、この本を読んでいよいよここまできたのか・・・と考えては、警察不信に拍車が掛かりました。
裏の汚さが見えてき始める中盤から後半は、時間にも追われてスピーディーに話が進みます。 誰かが殺され、犯人を暴く・・・と言うだけじゃない警察内部小説だと感じました。 よくあるミステリーっぽくはなく、ハードボイルド作家として名高い佐々木譲さんらしいBGMにジャズが流れる渋い作品です。 じわじわと話のおもしろさ(良さ)が沁みてきます。

「うたう警官」だった題名が、映画化・文庫化にあたり「笑う警官」に改題されました。 『うたう』とは警察用語で証言する・密告するの意。 この本を読んだ私個人としては「うたう警官」のままの方が良かったんじゃないかと思います。


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外部リンク
映画「笑う警官」公式サイト
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