飾文字

少年時代

池永 陽
双葉文庫

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ドラマ「少年時代」の原作本です。


昭和40年代初め、岐阜県郡上八幡には「新橋から吉田川に飛び込めれば、男として一人前」という慣わしがある。
中学1年になったばかりの良平は、まだ、飛ぶ事ができていなかった。 今年の夏までに飛ばなければ『臆病者』のレッテルを貼られてしまう。
その頃、良平を含む4人組の少年達の担任に、転任してきたばかりの榊原美樹先生がなった。 美樹先生は若くて何とも垢抜けた美人で、自己紹介の時に自分を「変わっている」と評する先生らしくない先生だった。 良平たちは破天荒な美樹先生が大好きだった。 親や他の先生には言えない事も、美樹先生になら話せた。 美樹先生は同じ目線で考え、答えてくれる。

毎日が良平たちにとって冒険と成長の日々だった。 秘密や仲間やケンカ、女の子への興味、川に飛び込む為の度胸試しに、筏を作って川くだり・・・子どもから大人へと変わる大事な冒険。 親の浮気、離婚、夜逃げ・・・大人の都合で環境を変えられる子ども。
日々、いろんな悩みに出逢い少しづつだけど成長していく良平は、新橋から飛べるのか!


ちょっと臆病で慎重派の良平。ケンカは度胸のガキ大将な正太。ムードメカーな達夫。医者の息子で頭のいいボンボン博信。 ベタと言われればベタな設定のお話ですが、ベタなだけにおもしろくて、私は好きです。
村のアイドルとして美樹先生と人気を二分する良平の姉・志保子やこの二人の裸婦像が描きたい美術教師の大倉。 どの人たちもベタな感じでいますが、そのベタさがいい。 後先考えないこの時代の少年達の事を、懐かしく振り返りました。

大人の都合で動かざるをえない子ども達に少し寂しくなりました。 前半〜後半近くまでは良平達の冒険譚として楽しく読めますが、ラストやところどころにある大人の事情に悲しくなりました。


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