スイートリトルライズ
江國 香織
幻冬舎
映画「スイートリトルライズ」の原作本です。
毎日が何不自由なく過ぎていく・・・毎日、何も変わらずに・・・
趣味で始めたテディベア作りが仕事になった、瑠璃子。
回りから見れば何とも幸せな、二人だけの結婚生活。
だけど、何だか寂しい、何か足りない、何かに飢えている・・・
人は寂しがるもの、夫である聡が悪いわけでも、聡にどうにかして欲しいわけでも、どうにかできるとも思っていない。
聡と一緒にいない時、とてつもなく聡に逢いたくなる。聡、を愛している。
聡は一人の時間が好き。仕事から帰宅して、食事をすませると自分の部屋にこもってパソコンをしたりゲームをしたりする。
そんな彼の部屋に行き、そっと見ていていいかと聞いたりする。
聡がいないと生きていけない。毎日が過ごせない。
聡を愛しているのに、好きな人ができた・・・・・・・
不思議と透明感のある不倫のお話です。
さらっと、不倫のお話なのに風のように涼やかに読めました。江国ワールドの力ですかね。
そして読了感がうすら寒い・・・。現代に生きる人の心のほんの小さな小さな闇(不安?)がうすら寒くするんでしょうか?
瑠璃子ほどではないにしろ、誰でも「何かに飢えてる」=「飢餓感」があるんじゃないでしょうか。
私的には瑠璃子の不倫相手・春夫は「無い」人なのでそこは共感できなかったんですけどね。
映画『スイートリトルライズ』公式サイト |