飾文字

沈まぬ太陽

山崎 豊子
新潮文庫

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映画「沈まぬ太陽」の原作本です。


恩地元は国民航空という大企業で労働組合委員長を務めていた。 何度も辞退していたが前任に無理矢理つるし上げられた形での役職だった。
労働者の賃金や休暇等の職場環境改善の為に、壮絶なまでに恩地率いる労働組合は会社側と闘いに闘った。 その後の恩地を待ち受けていたのは、懲罰人事としかいえない海外赴任だった。 パキスタン、イラン、そしてケニアと転々と遷された。 赴任先の状況はひどいところばかりで、誰も恩地の味方をしてくれる者もいない。
労働組合委員長時代、恩地の右腕とも言うべき存在だった副委員長を務めた行天四郎は反対に本社での重要ポストと引き換えに組合弱体化に手をかして、着々とエリートコースを歩み始めた。


「白い巨塔」「華麗なる一族」などで有名な山崎豊子さんの長編小説です。
山崎さんの著書はどれも重くて怖い問題をひしひしと訴えかけてきます。 どんな状況にあっても、自分の信念を曲げずに進み続ける恩地のような人物が山崎作品にはよく登場しますね。 「悪」に立ち向かうヒーローのようなこの恩地のひどい扱われ方に、胸が苦しくなりました。
もちろんこの「沈まぬ太陽」もそうで、決して明るく楽しい内容の話ではないのですが、目をそらすことが 出来ずに、ぐいぐいと「これでもか!これでもか!」と引き込まれてしましました。 読み終わった後に大きく息をつくくらい、全5冊の超長編作を読みきります。


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外部リンク
映画『沈まぬ太陽』公式サイト
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