ラッシュライフ
伊坂 幸太郎
新潮社
映画「ラッシュライフ」の原作本です。
「プロ」である誇りを持って仕事をする空き巣専門の泥棒、黒澤。 一方的にリストラに遭い、再就職先もなく同じように町をさまよっている野良犬と共に歩く、豊田。 互いの配偶者を殺す計画を立て実行しようと動く気弱なプロサッカー選手の青山と京子。 世の中では新興宗教と呼ばれている教祖を「神」として尊敬してやまない河原崎と、「神」を「神でなくなった者」として解体する塚本。 「金で買えないものは無い」と豪語する大手画商・戸田と金で買われた若き画家・志奈子。
この五組の人物達によってこの話は成り立っている。 それぞれの場所でそれぞれに生きている彼らは、不思議と１つにつながっているのだ。 冒頭のエッシャーの絵のように皆が皆、同じ場所をぐるぐると・・・。
正真正銘「伊坂ワールド」全開なストーリー構成です。 バラバラの道を歩いているはずの人達が、後半一気につながっていく様は、 ジグソーパズルのピースが次々にはまっていくように、はまっていくごとに 全体像が見えてくるように爽快で気持ちがいいです。 『人生において人は皆「アマチュア」だ。皆が皆、初めての人生を送っている。』 作中での一文ですが、妙に心に残ります。
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