虹色ほたる―永遠の夏休み
川口 雅幸
アルファポリス
映画「虹色ほたる」の原作本です。
小学生最後の夏休みが始まったばかりの暑い暑い日、ユウタはダムに来ていた。
去年、交通事故で突然死んじゃったお父さんと毎年カブトムシを捕りに来ていた場所だった。
「このダムには村が沈んでいるんだぞ」って言っていた、ダムに。ダムの形はしてるけど、このダムはダムとしては機能していないらしい。
頑張って一生懸命探してるのに1匹も捕れやしない・・・あきらめて、ダムの方に降りていくことにした。
去年、危ないってお父さんは言ってたのに・・・案の定か、ユウタは足を滑らせた・・・口の中は血の味がする・・・目が霞んでいく・・・死ぬんだ、オレ・・・
気がついたユウタは、原っぱに寝そべっていた。でも、目の前にあるはずのダムが・・・ない。灯が、村が見える。
そう、ユウタは30年前にダムに沈んだはずの深山井村にいた。
何でこんなに懐かしいんでしょう?
30年前の深山井村は、8月の村祭りまでホタルが見られるという貴重な村です。
うるさい位に鳴くセミと、たくさん捕れるカブトにクワガタ。伴侶を求めて飛び交うホタル。
山に川に、毎日が遊ぶ事で忙しい、ちょっと昔の夏休みをユウタはここで過ごします。
ホントの友達に出逢い、来年にはダムに沈む運命の最後の夏祭りを大事に大事に過ごします。
ベタと言ってはベタなタイムスリップものですが、心地いい郷愁感がわきあがってきました。
後半は涙が自然とあふれてくるはずです。
娘がユウタと同じ歳くらいになったら、「この本読んでみな」って薦めると心に決めました。