フィッシュストーリー
伊坂 幸太郎
新潮社
映画「フィッシュストーリ」の原作本です。
表題作を含んで4作の中編集です。
表題作「フィッシュストーリー」
30年前、20年前、現在、そして10年後・・・過去、現在、未来が錯綜しながらもつながっている不思議なお話です。 共通しているのは40年以上前に亡くなった日本人作家の遺作「フィッシュストーリー」の冒頭文の一節。
30数年前、あるロックバンドが解散直前に作った曲も「フィッシュストーリー」だった。
この曲は間奏中に一分間も無音状態が続く。
この意味が一部では話題になったが、分からず仕舞で解散してしまった。
何故、無音部分が1分間もあるのか?
20数年前、この曲を聴きながら実家へ帰る男。
この曲が出た頃、今とは違う青春を生きていた。
もう一度あの頃の様に生きられたら・・・。
現在、「フィッシュストーリー」を読みながら飛行機に乗り込む女性。
隣の席の男とこの本の話になり、男の独特の育てられ方を聞き興味を持つ・・・そして飛行機がハイジャックに襲われた。
そして未来は、過去にいろいろあったから成り立っているのだろう・・・
他の伊坂作品を読んだ事のある人が読むと2倍3倍と楽しめる本だと思います。 伊坂さんの本は、少しずつ登場人物がつながっていて一つの「伊坂ワールド」になっているのですが、 その作品群の中でも人気の高いある人物のスピンオフ話が載っています。
ミステリーの好きな私としては「おおっ」と思う人物の登場なので楽しんで読む事ができました。 長編の様に細かい伏線がつながっていくおもしろさは少ないのですがよく作りこまれた作品集ですよ。